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エコファ-マ-が農園から、安心と感動を発信します。


by chikomomorara

車掌の本分


またまた寒くなりましたね。

一昨日からは、北西の季節風が吹きまくり
台風並みの強風でした。

もう今年の夏は、冷夏で決まりでしょうか?
梅もいつのまにか、咲いたのか咲いていないのか分からぬような
咲き方でした。

花がいっせいに咲き誇るようなことのない年は
不順な気候に決まっているものです。

多分、今年は相当な冷夏になるのではないかと
気を引き締めています。

とりあえず、ハウス内は日照があるため
暖かいです。
というよりも、閉め切ると、40度近くまで行ってしまい
少しでも開けると、乾いた冷たい強風が入り地温を下げてしまいますので
少し開けてみたり、散水してみたりと、これまたハウスから離れられない
日が続いています。

なんとか暖かいので、アスパラも順調に出始めています。
やっぱり、いっせいにでることなく、推移していますので
4月いっぱいまで、元気な春アスパラが
楽しめると考えています。

ここ数日の発送は、20件前後です。

今年のアスパラは、鹿児島でも3週間程度遅れていますし
佐賀や長崎の大産地(今、日本のアスパラの最大の産地は佐賀なんですね)
でも極端に遅れているようです。

ですから、アスパラの値段が高いのではないでしょうか?

他の産地がでなくて、自分のところだけがでるというのが
普通の農家の理想です。
(単価が高いですから)
それも、自分のところだけが、いつも以上に収穫量が有ったりすると
もう天にも昇ったような気持ちです(笑)

とにかく、普通、農家と話すと、「何トン採った」とか
「半年でいくら売り上げが有ったようだ」とかの話ばかりです(笑)

ですから、アスパラなんかでも、毎日、ハウスに行っていっぱいでていれば
嬉しいですし、出ていなければ、どうすればどんどん出させることが出来るか
と考えるわけですね。

こういう風に、出かたが遅く、収穫量も上がらないようなときには
農家がまずやることは、肥料を流して、温度を高温に保つことです。

そして水をどんどん与えます。(春の場合)

そうすると、とりあえず、アスパラの形をしたものは
どんどんでてきます(笑)
おなじみの、スジがあったり、苦味やえぐみのある
アスパラですね。
まずかろうが、スジがあろうが、そんなのは関係ありません。
とりあえず、出荷規準の形をしたものが多ければいいのです。

出荷規準に「味」という項目は有りませんから(笑)

まあ、これが普通の農家ですね。
「たたずまいがきれいだ」とか「美味しいものを」とか
言ったら、変人に見られます。
ましてや、「収穫量は二の次」なんていったら
キチガイ扱いですね(笑)

でも、どうなんでしょうか?

やはり百姓というのは、食べてもらう方に健康な野菜を、できるだけ新鮮なまま
お届けすることが、使命ではないのか?
と思うんですね。

そしてその本分を尽くしたときにこそ
喜びが有るのではないかと思います。

この「本分」というのが、日本人の価値観の根幹ではなかったのかと・・・

以前、武蔵中学で、かんべむさしの車掌の本分という小説が題材に出題されたことが有ります。
(いかにも、武蔵らしいですが)

あらすじは

ある遊園地で、集客のためサルが運転する電車を作る事になり、二匹のサルがその運転の訓練を受けるべく
機械の操作を学んでいきました。

身体に電気を流して、操作を覚えさせられたりしました。
そして、見事二匹は、無事、マスターする事ができました。

そして、サルの電車がオープンすると、
たちまち大評判で、多くの人で遊園地は賑わい、利益も上がりました。

すると、週休二日だったサルの休みも、週一日となり
その上、電車をもっとお客さんを乗せれるよう、車両を増やす事になります。
それでも、なんとか業務をこなしていきました。

ある日、一匹の元気がないサルを見た、サルに訓練を施した優しい飼育員は

「週一日の休みでは過労から、サルがノイローゼになってしまう!
 今すぐ、週休二日に戻すべき!」
と、園長に掛け合いますが、当然拒否されます

車掌のサル(以下車掌) 「はーあ……」

運転のサル(以下運転手)「どうしたんだい?溜息なんかついて、最近元気ないようだけど」

車掌 「どうしたもこうしたもないよ…元気もなくなるさ…」

運転手「どうしてだい?確かに休みは少ないけど、バナナはいっぱいもらえるし、お客さんも
    たくさん来てくれるし、飼育員さんもいい人で、いつも俺達の事心配してくれるじゃないか」

車掌 「確かに、飼育員さんはいい人で、僕達の身体の事を気遣ってくれるよ。  
    でも、僕が今、ノイローゼになってるのはその事じゃないんだよ」

運転手「そうなのかい?俺には君が、ノイローゼになってる理由がわかんないなあ」

車掌 「……それは、電車の車両を増やした事によって、電車で一周を回るうち
    狭い周回だから、半分回ったら後ろの車掌の僕の姿が、君の前に現れるじゃないか。
    普通の電車では、車掌が運転手の前に姿を見せる事はありえない。
    車掌は、運転手の後ろで、お客さんの安全を確認するものだ

    これじゃ、僕は仕事をやってる事にならない!
    
    僕は、休みは減ってもかまわない。バナナが増えなくてもいい。
    自分の仕事をちゃんと遂行したいんだ!本分を尽くしたいんだ。
   
    僕に車掌の本分を尽くさせてくれ!」

という、話です。

なんとも、今の日本、サルにとうていおよばない「先生方」「エリ-ト」
「指導者層」が多すぎでは無いでしょうか?

やはり、このあたりで立ち止まって、考えるべきときかもしれません。


by chikomomorara | 2012-03-26 01:31 | アスパラ栽培