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エコファ-マ-が農園から、安心と感動を発信します。


by chikomomorara

スジっぽい、アスパラガス

アスパラガスでよく言われるのが
「スジっぽい」「えぐみがある」この2点ですね。
だから、アスパラは嫌いとか、根元のほうは、ピ-ラ-で剥きましょうなどといわれます。

これって、作り方で、かなりの部分回避できるんですよね。

今日は、前者のスジについてです。

まず、なぜ、スジっぽくなるのか?
意外と、簡単です。

「成長が遅いから」です。
成長が早くなれば、皮も薄くなる。

これで解決です001.gif

でもここからが難しいところなんですね。
「なぜ、成長が遅いか?」
これにはいろんな要因があります。

1.伸びるときの温度が低い
2.湿度が適当ではない
3.株に力がない。あるいは力があっても疲れている。
4.窒素不足
5.栄養が足りない、あるいは、栄養が吸収できない。
6.細い(上記3と関連します)
7.鮮度が悪い
8.収穫後の管理が不適正

などでしょうか?

春のアスパラでは、主に1~3と6が関係してきます。

アスパラは、上記を見ても分かるとおり、非常にデリケ-トな
作物なんですね。(他方、信じられないくらい鈍感な部分もあります)

人間でも、このような人もいますよね(笑)

春のアスパラは、朝収穫するんですが(後半は、夕方も)
その前の、夜にグッと伸びるんですね。

ですから、夜の気温が低いと、あるいは地温が低いと
伸びるスピ-ドが遅くなります。

また、アスパラも体感しているんでしょうか?
ある程度の低温なら気温が低くても、
湿度があれば、けっこう寒く感じないですよね。
ですから、湿度も適正でなければなりません。

もっともベストなのは、夕方まで晴れて(ハウスを夕方閉め
太陽の熱を取り込みます。その際、潅水して、地温、湿度を
コントロ-ルします。)、その後曇り、夜、さほど冷え込まず
この季節にしては、「ヌメ-っっと暖かい」翌朝がベストです。

また、環境が良くても、株自体に力がなければ、細いものしかでてこず
スジっぽくなります。
株に力があったとしても、2~3日元気に萌芽したあとは、疲れてきますので
そのような時も、スジっぽくなったりします。

株の状態の兆候は、収穫ハサミで切ったときの感触、香りで
感じ取ります。(ですから、ハサミは毎日、研ぎます)

1~2日先のことを読んで、予防的に管理していくわけですね。
また、毎日、調子よく出させるわけにも行きませんので
アスパラの体調?を見ながら、芽の出方をセ-ブすることも重要です。

ちょうど、春芽のころは、気候の変動が激しいので
土壌水分、湿度、気温、地温、今後の天候、株の様子、芽の出方
など、勘案しながらの作業になります。

ちょうど、そば打ち職人や、うどんで、粉の状態、温度、湿度によって
水回しの加減、水加減、塩加減をするのと同じです。

以上のことが、上手くいけば、春芽ではほとんど、スジを感じることのない
アスパラが収穫できます。

でも、ハウス農家ではここまで考えて、というかスジっぽくないアスパラを作る
という方針で、栽培するのは、ほとんど皆無ですから、ここまでは考えません。
(スジっぽかろうが、量を出せば、金になるわけですから、当然ですね)

また、露地栽培では、コントロ-ルすることは出来ませんので、ほぼ天候任せです。
でも、無理なく萌芽する気候にならないと、露地では出てきませんので
下手にハウスでコントロ-ルするよりも、おいしいものが出来ます058.gif

スジっぽい、アスパラガス_f0186462_059224.jpg


で、萌芽開始2週間内に、上記のような条件が揃うと、「これは出荷したくないなあ。」と思えるような
見事なものが、収穫できます。
上の写真の左2本がそうですね。

大きさ、色、形など、どれをとっても超一級品です。
(味は、他のものもあまり変わりません)

このようなものは、年に、50本行くかどうかですね。

ちなみに、この写真、見る人が見れば、前日の気温、地温、土壌水分量
まで分かってしまいます。

いかがでしょうか?
少し分かりにくかったかも知れません。
美味しいものをお届けするためには、結構神経を使っているんだ
と分かっていただければ、嬉しいです

でも、りんごの世界はもっとすごいですよ
アスパラの場合は、管理の妥当性が、すぐあとの収穫で分かりますが
りんごは、まだ、花も咲いていない剪定でほぼ決まってしまうそうですから・・・

私の師匠(と、勝手に思っているだけですが)はすごい人でした。
永遠に、修行です001.gif


by chikomomorara | 2008-12-18 01:00 | アスパラ栽培